▼津崎克彦(2014)「在留外国人統計に見る外国人労働力の性質と変容 」四天王寺大学紀要 第58号
【概要】
本稿は日本に在留する外国人を対象とした公的統計である在留外国人統計を用いて、外国人労働力の性質とその変化を記述し、その労働市場の分析に関する今後の実証的な課題を検討しようとするものである。
同統計を用いて外国人の年齢、性別、国籍、在留資格、地域という 5 つの要因について調査データを整理していく中で、一方では 1990 年代前半を中心とした外国人労働者をめぐる一連の政策とそれに基づく外国人労働者の受け入れ態勢が、社会政策のコストを回避しつつ、とりわけ人口の少ない地域へと外国人を供給するものであったことが確認された。しかし、2005年から 2010 年の間を境に、①在留外国人の伸び率の低下と人口規模の大きな地域への集積傾向、②属性における多国籍・アジア化、女性化、③就労制限のない在留資格に基づく在留者の量的増加と規制のある在留資格に基づく在留者の割合的増加、という 3 つの点で質的な変化があることを発見した。これらの発見事実に基づき、①地域社会の労働市場分析と外国人、②外国人労働者の階層に関する記述の精緻化と分析、③外国人労働者と移民という相互に連関する3 つの研究テーマを検討した。
【構成】
1. 問題の所在
2. 外国人労働者と在留外国人統計
2.1 外国人労働者と公的統計
2.2 外国人労働力を把握する際の国勢調査データとその限界
2.3 在留外国人統計と本稿の分析
3. 在留外国人統計による外国人労働力の状態
3.1. 外国人の国籍、年齢、性別
3.1.1 人数と国籍
3.1.2 年齢
3.1.3 性別
3.2 在留資格
3.2.1 在留資格の分類
3.2.2 在留資格とその変化 1 全体傾向
3.2.3 在留資格とその変化 1 国籍別傾向
3.3 外国人の人口と地域
4. まとめ
4.1 入国管理施策における 1990 年体制の評価と 2005 年以降の変化
4.2 いかなる変化か?なぜ変化が起きたのか?外国人労働研究における実証研究のテーマ
2014年9月30日火曜日
Related Post
倉田良樹 宣元錫 津崎克彦 財団法人国際研修協力機構「外国人技能実習生受入実態調査(平成21年度)」▼倉田良樹 宣元錫 津崎克彦 財団法人国際研修協力機構(2010)「外国人技能実習生受入実態調査(平成21年度)」 フィリピン・帰国生が立ち上げた工場 【概要】 技能実習生制度
津崎克彦「日本の労働市場の国際化と貿易--1990年代以降の製造業の外国人受入れに注目して」▼ 津崎克彦(2018)日本の労働市場の国際化と貿易 : 1990年代以降の製造業の外国人受入れに注目して, 四天王寺大学紀要第65号. 【概要】 日本では1990 年代に労働市場の国際化が本格
津崎克彦「『ブラック企業』問題とマネジメント」▼ 津崎克彦(2017)「ブラック企業」問題とマネジメント, 四天王寺大学紀要第63号. 【概要】 本稿では2000年代以降、日本で広がった「ブラック企業」問題に焦点をあて、「ブラック企業とは何
宣元錫, 松下奈美子, 倉田良樹, 津崎克彦「韓国人IT技術者の送り出し過程と日本の外国人高度人材受け入れ : 2000年代の拡大局面に注目して」▼宣元錫, 松下奈美子, 倉田良樹, 津崎克彦(2014)「韓国人IT技術者の送り出し過程と日本の外国人高度人材受け入れ : 2000年代の拡大局面に注目して」, 移民政策研究 第6号. 【概要】
津崎克彦「日本における労働と自殺をめぐる社会学的研究--予備的考察」▼ 津崎克彦(2019) 日本における労働と自殺をめぐる社会学的研究--予備的考察, 四天王寺大学紀要第68号 【概要】 本論考は日本における自殺と労働との関係について精緻な分析を行う
津崎克彦 荒井一博 倉田良樹「平成不況期の人的資源管理改革による従業員意識の個人化」▼ 津崎克彦 荒井一博 倉田良樹(2008)「平成不況期の人的資源管理改革による従業員意識の個人化」, 一橋社会科学第4号 2008年6月(クリックでダウンロードページが開きます) 【概要】 1